2024年度、地域医療ゼミナールでは2度、広島県三原市にあるデイサービス「暮らり」を見学させていただきました。
2024年8月5日には、作業療法士1名と広島大学医学部保健学科看護学専攻の学生2名が、2025年2月13日には広島大学医学部保健学科作業療法学専攻の学生1名が参加しました。
本ブログは、2024年8月5日に見学した広島大学医学部保健学科看護学専攻3年の盛川彩桜が執筆しています。
◯「暮らり」とは
「暮らり」は、広島県三原市西町に位置する複合型福祉拠点です。 築約120年の古民家(旧坂田内科医院)をリノベーションし、2022年春にオープンしました。
1階ではデイサービス「くらすば」を運営し、2階はデザインオフィス兼オープンスペースとして活用されています。
この施設の特徴は、高齢者や障害のある方、子育て中の母親、学生、働く人々など、さまざまな背景を持つ人々が集い、交流できる場を提供していることです。「暮らり」という名称は、「暮らしのリノベーション」の略称であり、地域の課題を可能性として捉え、人や町の要素を再編成することで、新しい価値を創造することを目指しています。
代表取締役の橋本康太さんは、三原市出身の理学療法士であり、2022年5月に「暮らり」を開設しました。
福祉とまちづくりの視点から事業を展開し、地域の活性化に貢献されています。
◯見学を通じて感じたこと
「暮らり」を訪れ、まず驚いたのはその外観でした。道路沿いにそびえる建物の前では果物やお菓子が販売されており、一見するとデイサービス施設には見えず、古民家カフェやおしゃれな集会所のような雰囲気でした。
この立地と開かれた空間の設計によって、地域に根付き、自然な交流の場となっていることが伝わってきました。
施設全体から温かみを感じ、利用者さんや職員の皆さんも和やかに過ごされていました。これまで見学した施設の中でも、特にアットホームで温もりを感じるデイサービスでした。
また、2階の事務所兼コミュニティスペースも見学し、「パンパカンパニ」というデザインオフィスの皆さんとお話する機会がありました。
主婦のデザイナーさん3名がチラシやHPのデザインを手掛けており、アットホームな雰囲気の中で仕事をされているのが印象的でした。
さらに、2階にはキッチンがあり、カフェとして活用できる空間もありました。週末には料理教室や座談会など、さまざまなイベントが開催されているとのことでした。
この施設では、デイサービスにとどまらず、世代を超えた交流の場が生まれていると感じました。
◯見学を通しての学び
見学中、橋本さんから施設のマネジメントについて伺いました。
医療や福祉の現場では、利用者さん一人ひとりに寄り添うことが求められますが、それを支えるためには、組織全体の運営や地域との連携が不可欠です。「暮らり」では、職員の働きやすさや地域住民とのつながりを大切にしながら、持続可能な運営が工夫されていました。
また、「暮らり」は単なるデイサービスではなく、地域に開かれた場所であることが大きな魅力でした。フリースペースやデザインオフィスの併設、八百屋の運営、情報発信のための「くらすば通信」など、地域とつながるためのさまざまな取り組みが行われています。
この見学を通じて、地域の中での「サードプレイス」の重要性について改めて考えさせられました。医療・福祉の場だけでなく、地域に開かれた居場所をつくることが、高齢者や障害のある方だけでなく、地域全体にとっても大切なのだと感じました。
また、橋本さんのお話から、社会に出て働く際に大切な職場のコミュニケーションや態度についても学ぶことができました。全国各地の良い取り組みや仕組みを積極的に吸収しようとする姿勢の大切さも実感しました。私も日々、新しいことを学び、吸収する姿勢を忘れずに生活していきたいと思います。
◯最後に
橋本さんをはじめ、職員の皆さんや利用者の方々が温かく迎えてくださり、施設全体からも温もりを感じました。また、これまでの成功例だけでなく、試行錯誤や課題についても率直にお話しいただいたことで、多くの学びを得ることができました。
今回の見学で得た知見を、今後の学業や将来の仕事に活かしていきたいと思います。
改めまして、「暮らり」の皆さま、ありがとうございました。
帰りには見学メンバーで、広島空港付近にある「八天堂ビレッジ」の天空カフェでランチを楽しみました。
三原のお土産も購入し、充実した見学実習となりました。